LINC(Laboratory Instrument Computer; 実験器具コンピュータ)は、12ビット、2048ワードのコンピュータ。LINCは世界初のミニコンピュータであり、同時に世界初の個人用コンピュータ(パーソナルコンピュータ)と呼べるものであった[1]。
LINCおよびMITの Linc Computer(1980年[2]にDECが開設した博物館によれば[3]、DECがプロジェクトに参加する前はそのように呼ばれていた[4])は、MITで設計され、最終的にディジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC) と Spear Inc. (後に Becton Dickinson and Company が子会社化)が製造した[4]。当時4万ドル以上の価格で販売された。6フィート×20インチのラックに格納された構成が多く、テープドライブ、小型ディスプレイ、制御パネル、キーボードが入っている4つのボックスから成る。
その命令セットは小さかったが、PDP-8の命令セットに比べれば大きかった。
実験で使用するのに便利なインターフェイスを備えていた。アナログ入出力は基本設計の一部となっている。1962年、リンカーン研究所の Charles Molnar と Wesley Clark が[5]、アメリカ国立衛生研究所 (NIH) のために設計したものである。LINCの設計が文字通りパブリックドメイン化されたことで、コンピュータ史上でもユニークなマシンとなっている。LINCの生産台数や誰が製造したかということはあまり問題にされない。ある文献によれば、24台のLINCがMITのサマーワークショップで組み立てられたという。DEC(1964年から)と Spear Inc.[6] が製品化し製造した。
ゴードン・ベルは、LINCプロジェクトが1961年に始まり、1962年3月に1台目が完成したとしており、それが正式に撤収されたのは1969年12月のこととしている[7]。DEC製のモジュールと筐体を使って全部で50台が生産され、多くがリンカーン研究所で組み立てられた。1台目のLINCには2つのオシロスコープが表示装置として備えられていた。DECは製品版21台を43,600ドルで販売。標準の開発用ソフトウェア(アセンブラ/エディタ)は Mary Allen Wilkes で、最終版は LAP6 (LINC Assembly Program 6) と呼ばれていた。